こんにちは,ビシカです.
第1種衛生管理者の試験に独学で合格できるよう,押さえておくべきポイント(試験に出やすい箇所)を項目で分けて説明していきます.今回は「作業環境要素」です.
------ 試験科目:労働衛生 試験範囲:作業環境要素 ------------
1.作業環境要素
作業環境要素には「一般作業環境要素」と「有害作業環境要素」がある.
「一般作業環境要素」は以下7項目の要素である.
温熱環境/空気環境及び換気/視環境/音環境/作業空間/作業負担/休憩室の設備
「有害作業環境要素」は以下4項目の要素である.
物理的要因/化学的要因/生物学的要因/心理社会的要因等
1.一般作業環境
空気環境及び換気,作業空間,作業負担,休憩室の設備及び有害作業環境要素全般は試験対策の点から省略.
(1)温熱環境:
温度感覚を左右する環境条件は,気温,湿度,気流,輻射(放射)熱の4つの要素によって決まる.輻射熱は黒球温度と考えてよい.
・実効温度(感覚温度)・・・気温,湿度,気流
・不快指数 ・・・気温,湿度
この温熱条件は1つの尺度WBGT(Wet Bulb Globe Temperature:湿球黒球温度,℃)で温熱条件を表すことができる.WBGTは,労働環境において作業者が受ける暑熱環境による熱ストレスの評価を行う指標であり,次式で計算される.
<屋外で太陽照射有>
WBGT値=0.7×自然湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度
<屋外で太陽照射無,または屋内>
WBGT値=0.7×自然湿球温度+0.3×黒球温度
*黒球温度と表現しているのは輻射熱が含まれるからである.
(2)視環境:
「照度」「グレア(まぶしさ)」「彩色」などは快適性や作業効率に影響を与える.
・照度:
単位面積当たりに供給された光の量を表す指標で,単位はルクス[lx].1[lx]は,1カンデラ[cd]の光源から,1[m]離れたところでその光に直角な面が受ける明るさのこと.PC等の端末作業(VGT作業)における労働衛生管理のためのガイドラインでは,ディスプレイ画面上は500[lx]以下,書類及びキーボードは300[lx]以上とすることとされている.
・グレア(まぶしさ):
反射光のイメージ.照明の光源や反射が作業者の視野に入らないよう,天井等に光をあて,反射光により作業面の間接照明を利用する.作業場の照度の最低基準(安衛則604条)は下表の通り.
作業区分 | 基準 |
---|---|
精密な作業 | 300[lx]以上 |
普通の作業 | 150[lx]以上 |
粗な作業 | 70[lx]以上 |
・彩色
彩度の高い色彩は交感神経の緊張を招きやすい=長時間にわたる場合は疲労を招きやすい.
明度の高い色彩は光の反射率が高い(照度を上げる効果がある)ため,目より上方の天井等は明るい色を用いる.
(3)音環境:
音の大きさの単位はデシベル[dB]で表す.
音の高さは周波数で表され,その単位はヘルツ[Hz]で表す.
一般的に,騒音は時間とともに変化するため瞬間値(ピーク値)ではなく,等価騒音レベルを測定する.等価騒音レベルとは,変動している騒音レベルを一定時間内の平均値として表した値である.
人間の聴覚が周波数により異なる性質を考慮し音圧レベル補正することをA特性による補正という(4,000Hzが一番感度良い).単位はdB(A).
2.化学物質管理
(1)SDSの活用:
・事業場で化学物質の危険有害性の情報ツールとしてラベル(GHS)やSDSを活用する.
・職場の化学物質管理には,これらの情報を有効活用する.たとえば,作業者の安全衛生教育や,リスクアセスメントに活用する.
・常時作業場の見やすい場所に掲示したり備え付けたりして,作業者に幅広く周知する.
(2)SDSに記載すべき項目:
・化学品または製品の名称
・組成および成分情報(他の法律や健康診断に影響を与える)
・物理的および化学的性質
・危険有害性の要約(人体に及ぼす作用)
・取扱い及び保管上の注意
(JIS Z 7253:2012を一部抜粋)
7 SDSの全体構成及びその内容
7.1全体構成
JIS Z 7252に従って分類した結果,危険有害性クラス及び危険有害性区分に該当する場合には,SDS を作成し,情報伝達を行わなければならない。SDS には,化学品について,次の 16 の項目及びその情報を記載する。これらの項目名の番号,項目名及び順序を変更してはならない。
1 化学品及び会社情報
2 危険有害性の要約
3 組成及び成分情報
4 応急措置
5 火災時の措置
6 漏出時の措置
7 取扱い及び保管上の注意
8 ばく露防止及び保護措置
9 物理的及び化学的性質
10 安定性及び反応性
11 有害性情報
12 環境影響情報
13 廃棄上の注意
14 輸送上の注意
15 適用法令
16 その他の情報
項目1の化学品を製品としてもよい
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作業環境要素はここまでです.特に黄色マーカーで記した個所は押さえておけば試験対策としてはOKです.
それでは,また次稿お会いしましょう.