ご安全に!
こんにちは,ビシカです.
第1種衛生管理者の試験に独学で合格できるよう,押さえておくべきポイント(試験に出やすい箇所)を項目で分けて説明していきます.今回は「職業性疾病①」です.
------ 試験科目:労働衛生 試験範囲:職業性疾病 ------------
1.化学的要因と健康障害
1-1.塵肺(じん肺)による健康障害
(1)塵肺(じん肺):
ある種の「粉じん」や「アスベスト」を吸入することで肺の組織が線維化(繊維増殖性変化)する疾患である.
(2)珪肺(けい肺):
塵肺の一種.「遊離けい酸」による塵肺を指す.「遊離けい酸」を吸入することで,けい肺結節をともなう肺上葉の炎症と瘢痕が特徴で咳,痰,呼吸困難に陥る.
(3)炭素肺・黒鉛肺:
塵肺の一種.「炭素」による塵肺を指す.
(4)アルミニウム肺:
塵肺の一種.「アルミニウム」や「アルミニウム化合物」による塵肺を指す.
(5)溶接工肺:
塵肺の一種.「鉄化合物」による塵肺を指す.
(6)石綿肺:
塵肺の一種.「アスベスト」による塵肺を指す.「アスベスト」を吸入することで,胸膜肥厚(プラーク),胸膜の石灰化 ⇒ 肺がん,中皮種(悪性胸膜中皮種)が生じる.
(7)合併症:
原発性肺がん,気管支炎,続発性気管支拡張症,続発性気胸,肺結核,結核性胸膜炎は塵肺と密接な関係がある.
1-2.金属による健康障害
(1)鉛:
金属の一種.腹痛⇒貧血/鉛疝痛,末梢神経障害,垂れ手(伸筋麻痺),生殖障害,腎障害.生物学的モニタリング指標として血液(鉛濃度測定),赤血球(プロトポルフィリン測定),尿(デルタアミノレプリン酸測定).
(2)水銀:
金属の一種.金属水銀,無機水銀,アルキル水銀の3つで中毒作用異なる.金属水銀の標的臓器は脳.幻覚などの精神障害などがみられる.
(3)砒素(ヒ素):
金属の一種.鼻中隔穿孔,皮膚が黒くなる黒皮症,手や足裏が肥厚する角化症
(4)クロム:
金属の一種.鼻中隔穿孔.
(5)マンガン:
金属の一種.歩行障害(小刻み歩行),小字症(小書症),パーキンソン病に似た症状であるパーキンソニズム(神経障害,発語障害,筋緊張亢進).
(6)カドミウム:
金属の一種.イタイイタイ病.肝臓・腎臓に蓄積.腎障害(蛋白症).急性では肺炎,上気道炎.
(7)ベリリウム:
金属の一種.ベリリウム肺(肺に肉芽腫).
(7)金属熱:
亜鉛や銅のヒューム(金属の空中浮遊)が原因.吸入して数時間後,帰宅後や就寝中に関節痛・悪寒・発熱などの症状がみられる.その数時間後,発熱・解熱.
・鉛,四アルキル鉛,水銀,マンガン ⇒ 神経(脳の60%は脂肪なので吸着しやすい)
・生物学的半減期 金属類は長い. 鉛(年)←→有機溶剤(日)
1-3.有機溶剤による健康障害
(1)メタノール:
有機溶剤の一種.メチルアルコールともいう.視神経障害.
覚え方:「目が散る(メチル)→視力障害(失明)」
(2)酢酸メチル:
有機溶剤の一種.体内でメタノールに代謝される.視神経障害.
(3)ノルマルヘキサン:
有機溶剤の一種.皮膚から速やかに吸収される.多発性神経炎(末梢神経障害).
(4)芳香族炭化水素:
有機溶剤の一種.生物学的モニタリング指標としてトルエン=尿(馬尿酸),キシレン=尿(メチル馬尿酸),スチレン=尿(マンデル酸)
覚え方:「前をトル「馬尿酸」」
ベンゼンは長期間暴露により造血器障害があらわれ,再生不良性貧血を生じる.
白血病の原因となるため,ベンゼンゴムのりの製造・使用が禁止されている.
(5)二硫化炭素:
有機溶剤の一種.
低濃度の長時間暴露:虚血性疾患や微細動脈瘤を伴う脳卒中の発症リスク高
高濃度の短時間暴露:精神障害
<有機溶剤の一般的な特徴>
・蒸気の比重が空気より大きい
・脂溶性がある
・皮膚や粘膜から吸収されやすい(結膜炎,皮膚の角化)
・揮発性が高ければ,経気道的な吸収は多い
・低濃度の長時間暴露では不定愁訴(不眠,物忘れ,頭痛,めまい)を生じる
・一部の対象物質については生物学的モニタリング実施
1-4.窒息性ガスによる健康障害
(1)一酸化炭素:
窒息性ガスの一種.化学窒息.COは酸素に比べると赤血球中ヘモグロビンの親和性が約250倍.防毒マスク,防塵マスクは酸素18%未満では使えない.
喫煙者は非喫煙者よりも血液の酸素運搬障害を起こす可能性高い(喫煙者の赤血球中ヘモグロビンはCOと結合してしまうため)
(2)硫化水素:
窒息性ガスの一種.管理濃度は1ppm.高濃度では脳細胞障害(呼吸麻痺,意識喪失),窒息死(肺水腫)の危険性あり.
(3)シアン化水素:
窒息性ガスの一種.青酸ともいう.細胞内の呼吸酵素と結合し酸素欠乏症を引き起こす.呼吸困難,けいれん.
・管理濃度 ⇒ 行政 + 管理区分
・許容濃度 ⇒ 学会(学術的)
1-5.刺激性ガスによる健康障害
(1)二酸化硫黄:
刺激性ガスの一種.慢性中毒として慢性気管支炎,歯牙酸蝕症
(2)塩素:
刺激性ガスの一種.特化則特定第2類物質として管理必要.
次亜塩素酸塩溶液(漂白・消毒などに使用)と酸性溶液(洗浄や水処理などに使用)が混ざると塩素ガスが発生し中毒を起こす.「混ぜるな危険!」
1-6.その他健康障害
(1)フッ化水素:
酸の一種.皮膚吸収⇒低カルシウム血症(血液中のカルシウムと結合)⇒全身症状(けいれん,嘔吐),腎障害.慢性中毒として斑状歯,骨の硬化,歯牙酸蝕症
(2)塩化ビフェニル:
ビフェニルの水素原子が塩素原子で置換された化合物の総称.ポリ塩化ビフェニル(PCB).黒ニキビ.
(3)エチレンオキシド:
有機化合物の一種.エチレンオキサイド,酸化エチレンなどともいう.滅菌に使われる.
(4)ニトログリコール:
ダイナマイトの原料.暴露を急に中断すると狭心症様の症状を生じる.
1-7.発がん因子(がん原生物質)と発がん性
原因 ー 主な発がん性
(1)コールタール ー 肺がん
(2)ベンゼン ー 白血病
(3)【製造禁止】石綿ー肺がん
(4)【製造禁止】ビス(クロロエチルエーテル)ー肺がん
(5)【製造禁止】ベンジジンー膀胱がん
1-8.職業アレルギー
原因 ー 疾患
(1)木材粉 ー ぜんそく
1-9.酸素欠乏症
酸素欠乏は空気中酸素濃度が18%未満の状態を指す.
16%以下になると頭痛・吐き気などの自覚症状がでる.槽内作業(タンク,サイロなど)に注意.
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職業性疾病①はここまでです.特に黄色マーカーで記した個所は押さえておけば試験対策としてはOKです.
それでは,また次稿お会いしましょう.